KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

彼は文芸家でしょ、科学者ではない

  • 僕らが所属している学会にしても、たかだか数千人の規模ですよね。その学会誌に論文を出したところで、そのうちのごくわずかの人が読むに過ぎない。
  • まあ、そうですね。論文が出たからといって学会員全員が読むわけでもないし。そのごくわずかの人が読むだけです。
  • 一方、新聞の記事になれば、それは何百万という読者に読まれるわけですよ。桁の違う影響力です。で、それは担当の新聞記者が書くわけだけど、彼らは学会誌に目を通しているわけではないんだね。
  • ああ、そうですか。新聞記者のことはよく知りませんが。まあ、日本にはサイエンスライターと呼ばれる職種の人たちが絶対的に不足しているということはいえるでしょうね。
  • たとえば、私のところに取材にくる記者がいるわけだけど、「村上龍についてどう思いますか?」なんてことを聞くわけです。彼は文芸家でしょ。科学者ではない。日本における科学者や研究者っていったい何なんだろうね。文芸家や評論家といっしょくたにされてしまう科学者って。
  • そうですねえ。特に人間科学系の科学者については、科学者と思われていないふしもあります。本人もそう思っていない科学者が多かったりして。
  • でね、これを打開するには外圧しかないと思っているんです。新聞記者も国内の学会誌はあまり読んでいないようだけど、ScienceやNatureといった雑誌には一応目を通している。それでそういう雑誌に投稿して、日本に逆輸入させるしかないのではないかと、こう思っているんです。