KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

Web日記と交換日記の共通性

 月刊「言語」(大修館)の99年3月号に、杉本卓さんの「自分を見つめる、人とつながる---情報メディアの今日的意味」という小論が載っている(50-53ページ)。その中の話題のひとつとしてWeb日記が取り上げられている。日記猿人も紹介されている。

 それによるとWeb日記がこれほど普及しているのは日本独特の現象らしいとのことだ。もちろんアメリカにもdiary/journalサイトはあるが、つれづれ的な日本の日記とは異なり、テーマをもって自分の考えを書き記したものが多い。また、アメリカにない、日本独特のものとして「交換日記」がある。こう見ていくと、Web日記や交換日記は、他者とつながり、他者を感じるためのメディアではないか、と著者は言う。

 なるほど自分一人だけで秘密に書く日記が、他者を寄せ付けないものであるのに対して、Web日記は他者である読者とつながりたいという気持ちがどこか見え隠れする。それは交換日記ではもっと明白に現れていて、そもそも日記を交換すると言うことはかなり深いところでの交流を求めていることだ。そう考えると、Web日記は誰を特定のターゲットとするわけでもないけれども、そこには交換日記的なつながり欲求があるのかもしれない。

 実際、Web日記同士で単発的にではあるが、交換日記的なやりとりが見られることは珍しくないし、それがWeb日記の特色であるともいえる。最初から特定の二人以上の人が順番に書いていく「Web交換日記」がそろそろ出てきてもおかしくない(もしかするとすでにやっている人がいるかもしれない)。また掲示板で交換日記的なやりとりが見られるのも普通の光景である。

 このように考えていくと、Web日記は「一人用の日記」からは遠く、むしろ「交換日記」に近い活動だということができるだろう。