KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

大学院生が欲しい

——おや? 今日は金曜日なのに休日日記?

大学祭なんだ。もちろん研究室は使えるんだけど、周りから出店やコンサートのざわめきが聞こえてくるとあまり集中できないからね。それでお休み。

——最近日記で取り上げた話題について、他の日記で反響があったり、メールをもらったりしているね。

そう、虚数の話とか、教師の学力低下とか、生きる力についてなど。それぞれについてさらに書いてみたいという気がするんだけど、今日はとりあえずこれが言いたい。

来年度の大学院修士課程の募集要項ができたので、たくさん来てくれるといいなあと思っている。今は、修士2年生が一人いるだけなので、彼が卒業して、もし誰も入ってこないと修士ゼロという寂しい状況になってしまう。

——そりゃ寂しいな。しかし、わざわざ富山まで大学院に入りに来る人はいないんじゃないか?

そうだねえ。実際は、羽田から飛行機で一時間かからないんだが、やはり心理的な距離が遠いというか。でも、大都市では大学院進学を希望している人が多いので、かなりの割合が入試ではねられている。研究生という身分になって浪人する学生も多い。もし自分の研究したい領域がはっきりしているのだったら、地方の大学院を探してみるというのも手だと思う。

——君の研究室の専門は何なんだい?

一言で言えば「心理学を基礎にした教育のデザインと実践」ね。教育のデザインということには、教材の設計とか授業の設計、評価の設計などが含まれる。対象は大学生を含む大人。パソコンやインターネットなどのテクノロジーはもちろん使うんだけれど、その根底にある人間の学習についての原理と、教育デザインの原則を追求したいと思う。だから「心理学を基礎にした」ということばを入れた。

——なかなかおもしろそうじゃないか。入試はあるの?

専門科目と英語ね。専門科目は心理学と教育工学の基礎的な知識があれば大丈夫。落とすための試験じゃないから。過去の入試問題も公開されている。

——修士課程2年間が終わるとどうなるの?

企業に入って働くか、あるいは研究者になりたい人は博士課程に進むことになる。私のところには博士課程がまだできていないので、博士課程のある大学院に移ることになる。企業では、教育システムを開発している会社に採用されている実績がある。

——進学する場合、博士課程の時にまた大学を変わるのは大変じゃないの?

そうだね。でも、アメリカでは学部とは違う大学の大学院に進学することは当たり前らしいよ。そうやっていろいろな環境の中で実績を積んでいくということが必要だと認識されている。

——しかし、学部、修士課程、博士課程とオール早稲田の君が言っても、説得力がないな。日本ではまだ学閥というのが根強いんじゃないの?

痛いな。確かにぼくはオール早稲田だったけど、今振り返ってみるとそれにはいい面と悪い面があった。いい面は尊敬すべき先生に巡り会えて、長くつきあえたこと。悪い面は、同じところに長くいると、しがらみや人間関係がきつくなってきてそれが抑圧的に働くことだ。学閥は確かにある。でも、決心さえすれば、それにとらわれずに生きていくことは可能だし、そう思って生きている人はけっこうたくさんいるよ。

——大学院は先生を見て決めるのがポイントだね。

あと、研究環境だね。院生個人用の机やパソコンがないところだってあるから。私のところはもちろんある。地方にいるおかげで、スペース的にはゆったりしているのが特徴。

——たくさん来るといいね。

たくさんというか、二人くらいで十分なんだけどね。すでに会社で働いている人も来て欲しいと思う。一度会社で働く経験をすると新しい視点で研究ができるから。

——会社を辞めろ、と?

んーと。留学制度のようなものがあればいいんだけどね。まだ難しいかな。でも、一度会社を辞めて、マスターを取って、また別のところで働くというキャリア・ルートはこれから増えていくと思うんだ。

——ということで、ぜひ。