——やっと倉敷に着いたね。
富山から五時間弱だ。それにしてもこちらは明るいね。特に北陸から来ると余計に強く感じる。日差しが強い。シャワーを浴びたら、オフまでに少し時間があるから、街を歩いてみよう。……美観地区に行ってきたぞ。カップルがたくさんいたぞ。いちゃいちゃしていたぞ。うらやましいぞ。男一人で歩くもんじゃないな。
——ははは。で、オフのほうはどうだった?
はせぴぃと田中さんとで夜のチボリ公園を楽しんだ。花がたくさん咲いていたし、照明がとてもきれいだった。デートコースにはなかなかいいかも。公園内のイタリアンレストランはなかなかおいしかったよ。
——田中さんというのは?
川崎医療短大の先生で、よく日記を読んでもらっている。岡山大学の出身なんだそうだ。そういえば、なんだか三人でローカルな話題ばかりを話していたな。オフというよりも同窓会という感じだった。こういうのも気楽でいいもんだ。それじゃ、おやすみ。
——もう寝るのか。
明日は朝から発表なのでね。寝坊しないように。あ、そうだ。列車の中で読んだ『方法としてのフィールドノート』(エマーソン他、新曜社、1998)はすごく面白かったよ。また紹介するよ。
——君はエスノグラフィーは嫌いじゃなかったのかい?
とりあえず、インチキだ、というのが癖になっている。インチキだといってから考え始めるんだね。
——人騒がせな癖だな。
まあ、方法を好きだ嫌いだといってもしょうがないだろう。何かを知るために、それにあった方法とそうでない方法があるだけの話だ。逆にいえば、方法が決まるとそれによってわかる範囲というか限界が決まるだけの話だ。科学の方法ということについてはまた話がでかいのでぼちぼちやりたい。
——待ってるよ。おやすみ。