KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ともかく理系の大学に入れ

——ところで君のコースの就職状況はどうなんだい? 教育学部にあっても教員免許を取らなくていい「ゼロ免」の情報系だったよね。

厳しい。「教育情報システム専攻」という名称で、情報のことも教育のこともわかる人材というのがウリだが、どうも情報の方はもう一つ学生に自信がないようだ。

——つまりプログラミングとかシステム設計の技能が弱いということか。

そうだね。パソコンやインターネットを使いこなすというところまでは行っていると思うんだけど、面接で「どんなことができますか?」と聞かれたときに「ホームページが作れます」というだけでは明らかに弱い。今や誰だってホームページを持つ時代だ。やはりその裏側がどういう仕組みになっているのかわかること、また裏側のシステムを作れる技能が求められている。

——君のところは理系なのかい?

教員はそう思っている。しかし、学生はそう思っていない人が多いようだ。入試は、センター試験と個別学力試験の合計で合否を判定するんだが、個別学力検査は外国語か数学の選択になっている。以前は国語も選択できるようにしていたのだが、そうすると受験生の半数は国語を選択する。国語の得点は安定していることがすでにわかっているので、受験生はリスクの少ない選択をするわけだ。

——国語を選択科目から外した効果は?

あると思う。全体に理系指向は強くなったと感じている。しかし、まだまだだ。idaさんの紹介でこんなWebページを読んだ。京都大学加藤尚武さんが書いている「学力の低下現象と新「学問のススメ」」という文章だ。その中にこんなくだりがある:

高校生に推奨したい勉強の長期指針は、次のようになる。ともかく理系に進学する可能性を捨てるな。高校段階で数学と理科を放棄してしまうと社会人になっ てから非常に苦しい思いをする。志望通りの大学に入れなかったら、ともかく理系の大学にはいれ。そこで真剣に自分の将来を考えて自分が一生涯の仕事として何をするかを決めろ。決まったらその希望を実現するための最善の大学院に進学せよ。日本の大学・大学院に志望にかなうものがなければ英米の大学をねらえ。

私も同感で、高校までに数学と理科を放棄してしまったら、もう取り返すことはできないと思う。

——あれ? 君は文学部出身じゃなかったか?

確かにそうだが、数学を選択してはいった。それに心理学は明らかに理系の学問だ。

——心理学が理系だって? 初めて聞いたな。

統計学は必須だし、実験ではコンピュータ制御を使う。それに研究論文の形式を見れば、理系以外のなにものでもない。それはともかく、学生の理系アレルギーを何とかしなくては、就職状況はずっと厳しいままだろう。

——何か考えている?

プログラミングかな。何か一つのプログラミング言語ができるということで、ユーザー側からシステム側の見方ができるようになる。これは何か社会の役に立つことをするためには絶対必要なことだ。

——君がプログラミングを教えるの?

こう見えても一種情報処理技術者だ。COBOLでも、PL/1でも、CAP-Xでもなんでも来い。なんだったらLISPでも。

——あのね。今はそんな言語はやられていないんだよ。

あれ、そうなの? でもアルゴリズムの考え方は普遍だ。

——なんだか頼りないな。まあ、お手並み拝見といこう。