KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ラリーポイント制でゲームは面白くなったか?

 いやー、燃えたね、バレーボール。日本・アメリカ戦を、0-2からの逆転で勝利。今日の韓国戦は0-3で完敗だったけど。

 それにしても、しばらくバレーボールを見ないうちに、ずいぶん試合方式が変わったんだね。サーブ権にかかわらず点が加算されるラリーポイントでの25点勝負。ただし第5セットに限っては15点勝負。これはなんだか変な感じがするけど、サッカーの延長戦のような感覚で見れば納得できる。

 ラリーポイント制になった理由にはいろいろなものがあるのだろうけど、少なくとも試合時間の見当が付けやすくなったことは確実だ。以前のサーブポイント制(と呼ぶのか知らないけど)では、サーブ権の移動だけを何度も繰り返していると得点が全然動かないことがあった。ラリーポイントではサーブ権が移動しても得点が加算されるから、一定時間内にはどちらかのチームが25点に達する。試合が一定時間内に終わるということは、テレビ中継にとってはありがたい話だろう。

 以前のサーブポイント制を懐かしむ。両チームの実力が拮抗していてサーブ権の移動だけでなかなか得点がはいらないときは、いらいらしてくる。それが一転して運気をつかむと、連続して得点がはいり、いらいらが解消する。一種のカタルシスだ。それが見る方の楽しみになっていた。

 ラリーポイント制では、試合をやる方も見る方も常に緊張していなくてはならないような気がする。サーブポイント制ではサーブ権移動ではポイントの変化はなく、それが一種の緩衝材のような役割を果たしていた。しかし、ラリーポイント制ではどんどん点がはいってしまう。息が抜けない。

 似たようなスポーツである、テニスとバドミントンでは得点システムが違う。テニスはサーブ権はあるもののラリーポイント制であるが、バドミントンはサーブポイント制だ。サーブ権がこちらにあるときは積極的に攻めていこうと考えたりして、サーブ権の有無によって心理的なものが違うところが面白い。これがラリーポイント制になってしまったら、ゲームそのものを平板なものにしてしまうかもしれない。

 ラリーポイント制のバレーボールでは5点の差がつくと、かなり致命的で逆転はなかなか果たせない。以前のシステムでは、5点の差があったとしても、粘って得点を止め、流れをつかんで一気に逆転ということがけっこうあったような気がする。これはラリーポイント制以前と以後における試合を分析して、逆転率がどれくらいあったかを検討すれば明らかになることだろう。そして、逆転試合を見ることがスポーツの大きな楽しみであることは、ほとんどの人が賛同してくれるだろう。

 よく考えると、野球というのは究極のサーブポイント制である。つまり、攻撃している方にしか得点がはいらない。しかも、いくらヒットを打ってもスリーアウトになる前にホームに帰ってこなければ得点にならない。このハードルが高いからこそ、得点がはいったときのカタルシスが快感になる。野球の得点システムを変更して、フライを取っても得点がはいったり、シングルヒットでも0.2点がはいったりするようにしたら、どうなるだろうか。つまらないだろうな。

 ボーリングでは、ストライクを続けて取ること、スペアを続けて取ることに対して大きな得点を与えていて、それが面白味を増している。倒れた本数だけで得点を数えていたとしたら、ここまで面白いゲームにはならなかっただろう。

 ゲームの得点システムとその面白さに与える影響というのは、面白い研究テーマになるような気がしてきた。