KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

吉田新一郎『会議の技法』

 この間、教授会に出たら、びっくりされてしまった。「あら、珍しい」ですと。そこまで言うか。実際、教授会に出たのは久しぶりなので反論できないところがつらい。まあ、反論する気はない。それが事実だから。教授会の出席率が悪いので、欠席者の名前を議事録に載せるという手段が最近とられるようになったのだが、はたして効果はあったのだろうか。もう何回かしたら、データを報告してもらいたい。私の意見としては、「欠席したら給料天引き」にしないと効果はないと思うのだが。

 教授会に出たくないのは、時間の割に実りが少ないからだ。最短でも2時間はかかるし、その割に有意義な議論ができたという経験がない。吉田新一郎『会議の技法』(中公新書)の言うとおり、参加してよかったと思うような会議というのはめったにあるものではない。とりわけ教授会は、その議案の内容は事前の小委員会で決められている場合がほとんどで、単なる承認機関になってしまっている。微妙な問題が議題になったとき(たとえば、学生数の変化による研究室・ゼミ室の再配分など)は、様々な意見が述べられるけれども、一応意見は聞きましたということで、そのひとつひとつが議事録に残ることもない。これでは意見を言うにしても、そのかいがない。教授会の役割が承認機関や最終チェック機関であるならば、それでもいいのだが、それならもう少しスピードアップが図れないものかと思う。

 『会議の技法』に書いてあることは、ひとつひとつもっともなことが多かった。その中でも、重要なのは記録係であるということ。会議の参加者は、一人一人の意見をいつでもきちんと聞いているわけではないから、ホワイトボードや模造紙の上に出された意見を書いていって、それを参加者が共有するという仕組みが大切だということだ。そうすることによって、話題に集中することができ、脱線する確率は少なくなるし、「言った、言わない」のトラブルも避けられる。最近では、パソコンにプロジェクターをつなげて、発言記録を直接パソコンに打ち込んで、同時にスクリーンに投影して共有するという方法も採られているという。私はまだ経験したことはないが。

 みのもんたが昼間のテレビで、電話で悩み事を相談する番組をやっている。番組の内容はさておき、ホワイトボードに相談事の要点をどんどん書いていくという方法はなかなか良いと思う。何人もいるアドバイザーやゲストが相談者の状況を正確に把握するのにとても役立っている。

 記録係がいて、発言の要点を黒板に書いていくような会議の仕方は、小学校でやっていたような気がする。しかし、大人になるとそういう形式の会議はまったくない。会議のやり方は小学校方式が優れていると思うのだが。