KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

スライドを映しながらの話は速くなる

 松下視聴覚教育研究財団から助成金を受けた。その贈呈式に出席してきた。この助成は今年から公募制になり、15件のところ149件もの応募があり、急遽20件の採択に拡大したとのこと。会場には見知った顔も何人かいて、楽しい集まりになった。ここに集まった研究者は、教育実践系の人から情報工学系の人まで幅広いスペクトルになる。どの人も、教育への技術の応用ということに興味を抱いていて、話をするのが楽しかった。

 理事長の木田さんの話が面白かった。30年ほど前にオーバーヘッドプロジェクター(OHP)という新技術が教室に入ってきた。研究によると、OHPを使った場合、使わない授業と比較して、3割ほど話が短くなるとのこと。これは合点が行く。法科大学での心理学の授業は要点をスライドにして投影しながら話をしているのだが、これに対して、話が速過ぎるという苦情を学生から受けた。苦情を受けてから、意識的にゆっくりしゃべるようにしているのだが、それでも気がつかないうちに速くなってしまうようだ。

 板書をしながら話をする場合は、板書の時間がとられるのでほどよいペースになる。学生がノートを取るにも余裕がある。しかし、OHPやスライドを映す場合は、話すスピードも速くなるし、スライドの内容そのものが情報量の多いものなので、学生はノートを取ることを初めからあきらめてしまう。それに対して、話の内容をプリント資料にして配布する場合もあるが、これによって学生はますます安心して寝てしまうということにもなりかねない。

 スライドを映しながらでも、話が速くなりすぎないようにするにはどうしたらいいか。まず考えられるのは、スライドの内容によって、投影される時間が自動的に制御されればいい。つまり、スライドにたくさんの情報が盛り込まれていれば、それに応じた時間投影され、それまでは次に行かないようにする。具体的には、一枚のスライド上の文字数に定数をかけて、その時間内はスライドを次に進ませないようにするということだ。こうすれば、話が速過ぎることもないし、ノートを取る時間もできる。

 うん。これはいいアイデアかもしれない。もしかしたらパワーポイントにこの機能が盛り込まれているかもしれない。しかし、もしそうでなければ、特許申請をしようかしら。