KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

大学ベンチャー

 東京に出てきている卒業生に話を聞いてみると、「ベンチャーをやってください。手伝いますから」と言う。なるほど、会社に勤めていると、自分の好きな仕事ばかりではないから、大変なのだろう。その点、ベンチャーという言葉には、なんとなく自由な響きがある。そんなに儲からないかもしれないが、一発当てる可能性もゼロではない(限りなくゼロに近いとしても)。まあ、実際はそんな気楽なものではないと思う。成功したベンチャーがあれば、その100倍の失敗したベンチャーがあるはず。

 国立大学の教員は、ちょっと前までは大学以外の仕事は厳しく制限されていたのに、今では、特許を取れとか、企業と組めとか言われるようになってきた。つまり、金を取ってこい、ということだ。いい時代になってきたのか、その反対なのかよくわからない。

 ともあれ、ベンチャーというのには何となく楽しい響きがある。たとえばベンチャーと授業を融合させることを考える。これは、自分に無関係な知識を仕方なく学ぶという授業を、自分自身の知識やスキルを磨いて稼ぐためのプロセスに変換することができるかもしれない。もちろんすべての授業がこのように変換できるわけではない。しかし、一部のゼミや実習系の授業はこんなふうに変えることができるだろう(もうやっているところもあるだろう)。

 たとえば教員のホームページの企画をして売り込み、その作成をする仕事をとってくるとか。まあ、これはベンチャーと言うよりはアルバイトの延長のようなものである。しかし、そういう仕事をしながら、コンセプト、アイデア、設計、実装、テスト、改善、ドキュメント、というようなステップによっていろいろな仕事ができているのだという全体像をつかむことができるだろう。こうした全行程を体験するところに意味がある。コンビニのレジ打ちよりはいいのではないか。儲からないかもしれないけれど。