KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

早く与えれば、2倍与えることになる

岸見さんのところで、知った言葉。「早く与えれば、2倍与えることになる」。

締め切りに追われて過ごす日々の私には何ともじんとくる言葉だ。

たとえば、完璧に近いものを締め切りぎりぎりに出すのか、締め切りよりもずっと前に少し不完全なものを出すのか、という問題がある。出してもらう側から言わせれば、不完全なものでも早く出してもらえる方が、ありがたいことが多い。締め切りぎりぎりで出されたものが、こちらの満足する出来のものであるかどうかは賭のようなものだ。不完全なものを早く出してもらった方が、さらに注文をつけることができるのでありがたい。締め切りぎりぎりであれば、もはや注文を付けてやり直してもらうということはできない。

でも、出す方から見れば、早く出して、注文をつけられて、もう一度仕事するのは、なんとなくイヤだなあ。それでも、もっと良くなるのだから本来は喜ぶべきなのだろうけれども。

たとえば、今くれる1万円と、1年後にくれる2万円があったとして、どちらがいいかを考えてみる。そうすると、たいていの人は、今くれる1万円の方を取るだろう。

ところが、今くれる1万円と、一週間後にくれる2万円を考えた場合はどうだろうか。今度は、一週間待ったとしても、2万円の方を取る人が多くなるような気がする。この場合に一週間後の「未来信頼係数」は50%である。一週間経つと、すべてのものについて保持されている確率は50%であると考えている。経済学にこんなような理論があった気がする。

そうすると、今出す原稿と、一週間後に出す原稿を考えてみると、一週間後に出す原稿は、今出す原稿の2倍「良く」なっていなければならない。「2倍良い」というのはどう測るのか問題だが、とりあえずその良さが測れるとする。

もし、今出す原稿も、一週間後に出す原稿も同じ質のものであれば、今出す原稿は一週間後のそれに比較して2倍の価値があることになる。「早く与えれば、2倍与えることになる」