KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

『目撃証言の研究』

北大路書房から本が届く。タイトルは『目撃証言の研究』(北大路書房、2001年)。578ページ、6500円という大部な本だ。

総勢23人が執筆している。その中で、私はほんの少しだけ、13ページ分を書いている。これを書いたのは……、いつのことだったろうか。確か大学院生をやっているときだったから、30歳前くらいか。10年以上が経過した原稿が今、日の目を見た。

あまりにも時間がたちすぎているので、書き直すか、という選択肢もあったけれども、今はもはや記憶研究の先端を追っているわけでもなく、結局、当時のそのままの原稿で通させてもらった。これは仕方ないだろう。出版が遅れたのは、私のせいではない。私は、締め切りを守ったと記憶している。

認知心理学重要研究集』は5年遅れの出版だったが、それをはるかにうわまわっている。あまり名誉な記録ではないね。

とはいえ、目撃証言に関する専門書が世に出たことを喜びたい。

「法と心理学の架け橋をもとめて」という副題から示されるように、第1部は心理学からのアプローチで書かれ、第2部は法律学からのアプローチで書かれている。とりわけ第2部では、具体例が多く引き出され、迫力がある。と同時に、記憶研究者が、目撃証言という現実の抜き差しならない場面でどのように関わっていくかという、責任の重さを感じないわけにはいかない。

実験心理学という学問と、現実社会とのかかわりを、目撃証言というひとつの現象を通して考えさせられる。