私の富山大学の時のゼミ生で、卒業後首都圏で働いている人たちを集めて、以前コンパをしたのだが、その中の一人が「重い」といいながら荷物を持っていた。「何?」と聞くと、「スキーブーツ」という。神田で買ってきたのだという。
「なんだよ、東京に来てまで、スキーすることないじゃないか」
私も、富山に移住してから数年間はスキーをしていた。授業が終わってから、車にスキー板を乗せて、30分走ればスキー場、というのにはちょっと感激した。
しかし、それも数年間だけのことで、その後はスキーをしなくなった。そのせいで、スキーはうまくない。なぜやらなくなったのかといえば、あまりありがたみがない、というようなところだろう。その割にリフト代は安くはないのだ。
首都圏に暮らしてみると、スキーをやりたいという心理がわかる。雪が降るということがひとつのイベントなのだ。スキーをするためだけに旅行を計画することが正当化される。スキーはひとつのイベントになる。