- 作者: 猪瀬直樹,MM日本国の研究企画チーム
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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オフ会でnmさんにいただいた、猪瀬直樹『一気にわかる!空港の内幕』(PHP, 2002)を読む。
この本は、「日本病のカルテ」シリーズの一冊で、巻末には、nmさん自身が書かれた「クロノロジカル日本経済---日本の近代を捉え直す視点」が収められている(かなり長い)。
政治・経済、歴史・地理に疎い私は、めったにこうした本は読まないのだけれども、題名の通り、一気に読んでしまった。そして思った感想は、本当におおざっぱなものだが、
「天下りシステムが諸悪の根元だな。それを維持するためと予算を常に消化するために、無駄なもの、非効率的なものを延々と日本国は作り続けている。そしてその結果、巨大な借金を国=国民が背負うことになっている。この悪循環を断ち切るには、民営化という道しかないし、民営化でうまくいっている例が外国にはたくさんある」ということか。
もちろん本文では、こうしたことを緻密に、実証的に検証していて、読み応えがある。けれども、読み終えたあと、「なんですぐこうすることができないんだろう?」と思ってしまうのは、私が単純すぎるからなのだろう。もちろん、解決策が十分わかっているにもかかわらず、それをすぐに実行できないのは、私も含めて多くの人間や組織がそうなのだ。
nmさんの付章で紹介されている、アレックス・カーの「ひょっとすると世界で最も醜いかもしれない国土」ということばが印象に残った。誰も通らない林道、利用する農民のいない灌漑目的の堰、人口1000人の村の多目的ホール、といった空しいモニュメントが象徴する魅力のない国土に、日本がなってしまったということだ。そして今なおそれに歯止めがかからないのはなぜかというと、日本の伝統的な「調和」の精神が、明治以降の近代史の中で「責任者不在」ということに変換されて、舵取り不能の状態になってしまったということのようだ。