KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

放送大学のすてきな番組

通信教育のビデオ作成に役立つかもしれないと思って、放送大学の番組をちらちらと見ている。ちなみに、ここでは5チャンネルにはいっており、チャンネルをザッピングするときに自然に目にはいるので、ちょこっと見る。いつもなにかしらの番組をやっていることでもある。

それを見て感じることは、やはりアナウンサースタイルで一人しゃべり続けるのは、見ている方もちょっとつらいということだ。もちろん、教育番組だから内容こそが勝負なのだが、それにしてももう少しなんとかならないものか、などと思う。

ところが、今日たまたま見た番組は最後まで見てしまった。それは、大学院の番組で、波多野誼余夫さんと北山忍さんの対話形式のものだった。波多野さんはもっぱら聞き役で、北山さんが自分の研究をパワーポイントを使って、紹介していくというスタイル。ときどき波多野さんの鋭いつっこみ質問がはいったりして、実にスリリングだった。

もちろん、内容の面白さがポイントだったのだろうけれども、やはりこうした対話スタイルをとるだけで、一人語りの番組とはまったく違った面白さを引き出すことができるのだ。

ちなみに、内容も面白かった。文化差(たとえば日米間の)の心理学的な研究で、北山さんが採っている方法は、語彙と語調のストループ実験(たとえば「楽しい」と言う言葉を楽しくないように言う)や、動物の再認実験で、背景を変えて再認率を調べるような、認知心理学実験のパラダイムを利用したものなのだね。

そうすると、日本人はアメリカ人に比べて、語調による妨害が強く働いたり、背景による妨害が強く働いたりすることが、反応時間や正答率というデータではっきりでる。つまり、あくまでも相対的だが、日本人は、文の意味よりもそれをいわれた語調に影響されやすかったり、背景情報に影響されやすいということだ。文化差というある種あいまいなものが、反応時間や正答率という数字で明確に出るというのが、すてきなところ。

手本にすべきプログラムだった。