KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

その時間はただ通り過ぎていくだけ

NHKスペシャルで、長距離トラックドライバーのドキュメントを見た。「追っかけ」と呼ばれる特急便の運転手は、それこそ休憩時間を削って走り続ける。延着すれば損害賠償が請求される。しかし、経営陣の安全対策のために、90キロまでしかでないリミッターを車に装着させられる。あとは、睡眠時間、休憩時間、食事の時間、トイレの時間を削るしかないという構造である。

「給料も何もいらんから寝かせてくれと思うことがある」ということがすべてを物語っている。自分の時間を削る仕事は過酷すぎる。ドライバーはこんなつぶやきをしていた。「できることなら昔にもどって今とは違う道を歩いてみたい」と。

自分の時間を持つということが今の私に問われている。忙しいことはけっしていいことではない。忙しすぎれば、その状態が不幸であると感じることさえ不可能だから。その時間はただ通り過ぎていくだけなのだ。後に何も残さずに。そして「あれは何だったんだろう」という虚無におそわれるのだ。