KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

上淵寿『動機づけ研究の最前線』

動機づけ研究の最前線

動機づけ研究の最前線

価値とは何かについてEcclesらは、以下の4つを特定している。第一は「達成価値」(attainment value)であり、これはその課題をうまくやることに対する個人的な重要性を指す。第二は「内発的価値」(intrinsic value)であり、「活動遂行から得られる個人的な楽しさや課題に対する個人的興味」を意味する。第三は「実用価値」(utility value)であり、「現在または将来の目標(例えば、キャリア形成)にどの程度その課題が関連しているか」を示す変数である。第四は「コスト」である。これは上記の3つとはやや異質で「課題従事の負の側面」を意味する変数であり、具体的には成功に必要な努力量、ある選択をすることにともなう機会の損失、成功失敗に関する不安や恐れなどを指す。

「フロー理論」(Nakamura & Csikszentmihalyi, 2002)によれば、われわれの心理状態は、「知覚された挑戦(challenge)レベル」と「知覚された技能(skill)レベル」に規定されるという。そして機会が提供する挑戦レベルと自分の技能レベルをそれぞれどのように知覚するかという組みあわせによって、8種類の心理状態を体験するというのである。/無関心〜心配〜不安〜覚醒〜フロー〜統制〜リラックス〜退屈

自己制御学習研究では、他者から外的に制御されなくとも、自己制御する意思という意味での、内発的動機づけが重視される。まず自己制御的な人は、より内発的に動機づけられている。/たとえば、Zimmerman & Martinez-Pons(1988)の研究によれば、自己制御的な学習方略(モニタリングなど)を使うと報告した子どもが、実際にプロジェクト学習に自発的に参加したり、授業に関係あるが宿題として出されなかった調べ物をしていた。