KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

渡辺琢美・伊東昌子『温かいコミュニケーション』

温かいコミュニケーション―「つながり感通信」の誕生

温かいコミュニケーション―「つながり感通信」の誕生

「アウェアネス」は、「臨場感」という概念に置き換えられて追求されてきたといえるでしょう。/一方、「つながり感通信」においては、同じように「アウェアネス」の実現を目指しながら、従来の研究とはまったく違ったアプローチを採用しています。画像や音声など、従来は当然に必要だと思われてきた情報のほとんどをあえて排除し、非能動的なコンテンツのみを伝達することで、まるで相手が身近にいるのと同じような「つながり感」を実現しようという方向性です。

人感センサーを備え、その情報を相手の装置にインターネット経由で送る「ファミリープランター」というものを開発した。情報は、光や音という非明示的な情報で「それとなく」伝えられるところがポイントだ。つまり、これは別の場所にいる人に、それとない「つながり感」をもたせるためのデバイスだ。

これを富山県の山田村の参加者と別地点にいる身内とに利用してもらい、実証実験を行った。実験方法の中核は、行動分析学ABAデザインだ。着想から装置の開発、実証実験までがていねいに記述されている。

今では、インターネット経由でテレビ会議が手軽にできる。しかし、あまりにも相手が見えすぎてしまうのも善し悪しだ。家族同士のテレビ電話にしても、何か明白な用事がなければかけにくいものになってしまう。ケータイメールが繁盛しているのは、押しつけがましくなく、それとなく存在を主張できるからではないかと思っている。

Webカメラは一方的にある地点をのぞき見できるシステムだが、それを双方向にして、かつ焦点をぼやかしておくと「つながり的Webカメラ」ができるような気がする。