KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

若島孔文『脱学習のブリーフセラピー』

脱学習のブリーフセラピー―構成主義に基づく心理療法の理論と実践

脱学習のブリーフセラピー―構成主義に基づく心理療法の理論と実践

だから、基本を一生懸命学ぶことは必要です。しかし、それに終始するだけでは十分ではありません。/では次にどういうことが必要かというと、今度は過去に学んだ型にとらわれないということなのです。これが学習learningによる拘束からの解放、すなわち脱学習unlearningということです。これは型にとらわれないということであって、学習したことを単純に忘れることではありません。/これまでの脳のネットワーク理論や人工知能の理論には、この脱学習がありません。無数の特殊を集めれば普遍が生まれてくると考えているからです。

単純思考効果とは、私たちが何かについて考えるだけで、私たちが考えたものやことに対する態度や感情が極端になる現象のことです。

目の前にある現実の存在が単純思考効果を弱めるというこの現象を、Tesser, A.は「現実拘束」と呼び実際に目の前にある現実が単純思考を弱めるかどうかを検証するために実験を行いました。

ユーティライゼーションにおける資源として最重視すべきなのは、その"力"がクライアントの変化を導くのに最終的に「役に立つのか、立たないのか」というセラピストの選択眼です。筆者の経験では、その"力"が、強ければ強いほど、セラピーの進行に役に立つと実感しています。

もうひとつのポイントは、セラピストがクライアントと賭けをしたことでした。しかし、この賭けは、勝っても負けてもセラピストにとって望む治療上の効果が得られるという、不敗構造になっています。こうした治療上の不敗構造のことを、ブリーフセラピーでは、「治療的二重拘束」と呼び、技法の一つに数えられています。

このような問題に対して、参加者が時間と労力を払ってコンサルテーションの場にわざわざ参加していること、その場ではまわりのみんなが問題の解決に向けて努力しつづけている(またはそう見える)こと、これが集団コンサルテーションの強みです。