- 作者: レイモンド・J.コルシニ,金子賢
- 出版社/メーカー: 金子書房
- 発売日: 2004/02
- メディア: 単行本
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結果として、人はロールプレイングを次のようなものと仮定することができるようになります。
- 「ロールプレイングは、実際の生活行動に酷似した表現である。」
- 「ロールプレイングは、個人をホリスティックに包含している。」
- 「ロールプレイングは、患者が実際の生活場面でどう行動するか、観察者に提示する。」
- 「ロールプレイングは、ドラマティックなために問題に注意を焦点づける。」
- 「ロールプレイングは、中立的立場で演じながら、個人は自らを見つめることを可能にする。」
一つの要素を変えると全体が変わる、これがこの考えのエッセンスなのです。このことは、最も簡単なやり方で、治療のためのロールプレイングの根本概念を表現しています。おぼろげな真実や小さな成功体験をあたえるだけで、それが自己概念に編み込まれていくと、変容が生じるのです。
効果的なロールプレイングは、セラピスト側の創造性を必要とします。それはただ、「さて、ロールプレイングを始めましょうか」などというものではなく、人を選びその役割をくわしく説明することで、完全な場面を創造することであり、その場面に合う構成を当てはめることであり、あるいは、新たな構成を創り出すことであるのです。
私たちは、人のタイプライティングの能力をタイプライターを用いて知り、人がどれくらい上手に泳げるかをプールで泳いでもらって知ります。人がどれくらい社会性があるかは、応接室での彼を観察して知るというわけで、人が他人との関係でどう行動するか、例えばいじめられたときにどうするかなどを知りたいときは、面接したり質問したり、質問紙を埋めさせたり、インクのシミが何に見えるかと尋ねるよりも、ロールプレイングで検査することが一番良いということです。
ロールプレイングの全体像と応用を知るために非常にコンパクトにまとめられた、しかも実践的な本。ロールプレイングの具体例は豊富に載っているが、会話ログだけから場面を想像するのは少し苦労する。やはり実際にやっているところに参加していくことが必要だな。
コルシニ(発音は違うような気がする)は、アドラー、フロイト、ロジャースと巡り、モレノとの親交を経て、ドライカースに出会い、今は100%アドラー派として活躍しているとのこと。