KogoLab Research & Review

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宇佐美寛『大学授業入門』

大学授業入門

大学授業入門

後ろに座る学生、教員に厳しく自分に甘く 産能大調べ

 教室の後方に座る学生はテストの成績は悪い一方、講義への評価は厳しかった――。産業能率大(神奈川県伊勢原市)の松村有二・情報マネジメント学部教授が約140人の学生を対象に調べたところ、そんな傾向が明らかになった。自由に座席を選べる講義では、前に座る学生ほど勉強に取り組む姿勢も前向きのようだ。

という新聞記事が載った。

「私語は研究などせずに、無くせばいい」(『大学授業の病理---FD批判』)と主張する宇佐美先生であれば、「後ろに座る学生の成績が悪いのならば、彼らを前の席に座らせればいい」と言うでしょうね。

この本はそんな宇佐美節の炸裂です。一貫して一方的講義を批判する。学生に学習活動をさせることこそが重要だと。それも、抽象的なまとめ教材ではなく、具体的な教材を使おうという。

授業は、予想できない様ざまな現象が起こり、その場での即座の対処が必要になる修羅場である。……即座の対処を支えるものは思想である。常に思っている本音の思いである。学習心理学の知識ではない。

「大学授業」三部作のエッセンスがこの本に詰まっています。