KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

竹田青嗣『現代思想の冒険』

現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫)

現代思想の冒険 (ちくま学芸文庫)

  • ソシュール言語学:すでに客観的に存在する事物の秩序に、私たちが記号によって名前をつけているのではなく、逆に、事物の秩序とは、人間が言葉によって編み上げたものに他ならない。これが、ヨーロッパの哲学や認識論を通底していた「実在論」を打ち砕き、「関係論」というパラダイムを導き入れるきっかけとなった。
  • 構造主義の基本的な特質
    • 関係論:ものごとの実体を問うのではなく、社会・文化・歴史をその関係のあり方を取り出すという方法で問う。
    • 共時論的分析:社会・文化の状態を起源や歴史から問わないで、現在の総体的体系性としてとらえる。
    • 構造論:目に見え、意識されている制度のあり方ではなく、それを支えている無意識の構造に注目し、取り出そうとする。
    • 形式化:レヴィ・ストロースの「二項対立」に見られるように、要素を徹底的に形式化し、そこから関係の束をつかみ出す。
  • 人間は言葉によってしか<現実>を把握していない。<客観>とか<理念>はとらえられ決定されたものとしての<現実>を意味している。
  • 人間は「可能性」によってのみ自由に生きている。死を宣告された人間には、現在の地異など何の意味もなくなってしまう。
  • たとえば人間はこの恋愛のためには死んでもいいと思えるようなときがある。それはエロスが超越の淵を乗り越えるときである。
  • たとえば私たちは美しい家を建てようとするが、他人の家のほうがより美しいと感じれば、自分の家の美しさはもはや何の意味ももたない。現代社会における人間の欲望はこのような誤差の円環の中に封じ込められる。