テレビゲーム教育論―ママ!ジャマしないでよ勉強してるんだから
- 作者: マーク・プレンスキー,藤本徹
- 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
- 発売日: 2007/07
- メディア: 単行本
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あるゲームデザイナーが次のようなコメントをした。「インストラクショナルデザイナーをゲームデザインチームに加えると、彼らはゲームの面白さを奪い去ってしまう」
「教育的」と「おもしろい」というのはしばしば排他的にとらえられている。ゲームメーカーは、それがつまらないと受け取られることを恐れるために「教育的」という修飾をつけられることを極端に避けているという。インストラクショナルデザイナーとすれば、「おもしろくって教育的」ということを目指すのが正統的かもしれないけれど、その組み合わせそのものが矛盾くさい。
この本は、おもしろさを目指せばそれが教育的になるということをいっているような気がする。つまり、おもしろくなければそれは効果的でもないし学習が起こる余地もないということだ。おもしろさを目指せば、すばやい意思決定をすること、複雑な全体構造を把握すること、他者とコミュニケーションし、協力し合うことなどを必然的にゲームのなか組み込むことになる。それがすなわち新しい意味の「教育的」ということにほかならないのではないかと。
私は、この昔ながらの学習に対する考え方はすぐに大きく変わっていくだろうと予測している。楽しくて豊かで、夢中になれる双方向型のゲームをプレイしてきた生徒たちは、苦痛で退屈な学習をもはや受け入れることはできなくなっている。より夢中になれて、楽しい学習環境を要求するようになり、教師たちはもはやそれを拒否することはできない。