KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ストーリー・センタード・カリキュラム(NIMEeラーニング運用実践セミナー)

去年のほぼ同時期に開かれたセミナーと同様の内容を話してきました。熊本大学の鈴木克明先生は、熊本大学大学院・教授システム学専攻の紹介を、私は早稲田大学人間科学部eスクールの話を提供しました。聴衆は20数名とやや少なめでしたが、いろいろとおもしろい話が聞けました。

熊本大学大学院で今年から実施しているのが、ストーリー・センタード・カリキュラム(SCC)です。

大学では、ある専攻の枠組みを決めて、それを埋めるように科目を立てます。学生はそれを選択して、並行して受講していくわけですが、この方法の弱点は、科目間の関係性が明示されないことです。そのため、学生は、なぜ自分が今この科目を学ぶことが必要なのかということを確認しないままに、単位を取るだけのために勉強するということになりがちです。

それに対して、ストーリー・センタード・カリキュラムでは、現実性のあるストーリーと状況の中で、学生が今学ぶ必要のあることをシナリオから指示されます。それを納得した上で特定の科目の特定の単元の学習に取りかかるという手順です。科目は複数のものがクロスして学習されます。

特徴的なのは、その学習の仕方で、通常なら4科目なら4科目が並行して履修されますが、ストーリー・センタード・カリキュラムでは、15週に4科目が直列で配置されます。したがって各科目では1週間に4週分の内容が集中的に提供され、受講生がそれを学習することが義務づけられます。直列で配置される科目を結びつけるのがストーリー(シナリオ)ということになります。

これが実際にできるのかということですが、大学院レベルで動機づけが高く、履修科目数も4科目くらいに抑えられるなら、実現可能性は高いと思いました。並行履修のモデルでは、レポートの時期になると一斉にレポートがでるという問題がありますが、直列履修ではそういうことはありません(その代わり常にレポートを書いているということになりますが)。このように、常識的な授業履修の形態から、自由に新しいかたちに組み替えることができるというのもeラーニングの強みです。新しい授業の可能性を感じます。