- 作者: クレイトン・クリステンセン,マイケル・ホーン,カーティス・ジョンソン,櫻井祐子
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2008/11/20
- メディア: 単行本
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学校という持続的イノベーションに対して、どのように投資しようとも問題解決には至らない。なぜならば学校教育は、教育の標準化と個別化という根本的に対立する矛盾を抱えているからだ。だから、いくらパソコンを教室に導入しても、その使い方が伝統的教室スタイルであれば、効果は限定的なのである。
結局のところ、学校へのテクノロジー導入の支持者と批判者(研究者含む)の双方が、強力なソフトウェアとハードウェアが限定的な方法で用いられることが多いために、支配的な指導実践を変えるどころか単に維持するだけになっていると訴えている。
クリステンセンは『イノベーションのジレンマ』(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050525/p1)理論を背景に、学校という持続的イノベーション(教師主導型課程)が問題としないところから破壊的イノベーションが起こりつつあると指摘する。破壊の第1段階は「コンピュータベースの学習(オンラインコース)」であり、第2段階は「生徒中心の学習(個人指導ツール)」である。
オンラインコースが全体に占めるシェアは、2007年にわずか1%にすぎなかった。直線的に将来を予測すれば、それほど大きな変化は期待できないだろう。だが対数的に見た場合、2019年までに高校の全履修課程の約50%がインターネットを通じて提供されることをデータは示唆している。
教育研究にも一言。
支配的なパラダイムから脱却しなくてはならない。ベストプラクティスの研究や、教育全体にわたって平均的に何が役に立つかといった研究は、もはや通用しない。医学の研究者が症状ではなく原因から疾患を理解しようとするように、教育研究も生徒や学校の集団にとって平均的に何が最も有効かではなくて、さまざまな状況におかれた一人ひとりの生徒にとって何が有効かを理解する方向に向かわねばならない。