KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

『動機づけ面接法』:変わるための方法

なぜこの本にもっと早く出会わなかったのか。

この本は、人が変わるときに起こる「抵抗」(変わりたくない、変わる必要はない、変わる自信がない)を乗り越えて、変わるためには、どのようなインタビュー(カウンセリングというよりは)を行えばよいのかを追求している。その背景にはアンビバレンス(両価性)「変わりたい、でも変われない」の構造があり、それをどのように扱っていくかを具体的に示す。その源流はロジャースのカウンセリングであり、そしてプロチャスカの変化のステージモデルなどが援用されている。

私が「教える技術」=「インストラクショナルデザイン」の次に来ると考えている「教えない技術」はまさにこの「抵抗」を扱おうとしていた。「それをやればいいのはわかっているよ。でもやりたくないんだ」という抵抗トークをどうやって「やれる! やろう!」というチェンジトークに変化させるかというところが山だったのだ。

この本はまさにこのことを扱っている。実践の文脈は、アルコール依存を典型として、医療・保健の領域が中心だが、日常的な文脈でも使えるはずだ。私たちは毎日のように誰かに言い訳をしたり、自己欺瞞をしたりしている。そしてやるべきことを巧妙に避けたり、先延ばししている。そうしたことを軽々と乗り越えて、充実した毎日を過ごすためにはどのようにすればいいのか。この本が示唆することは多い。

なお、オハンロンの『変化の第一歩』も関連文献として見ておきたい(id:kogo:20091224)。

動機づけ面接法―基礎・実践編

動機づけ面接法―基礎・実践編

変化の第一歩―日常生活やセラピーを変える実践ガイド

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