(『アドラー心理学 シンプルな幸福論』(2010年刊)を改題し、加筆修正のうえ、文庫化したもの)
アドラー心理学 実践入門---「生」「老」「病」「死」との向き合い方 (ワニ文庫)
- 作者: 岸見一郎
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2014/05/21
- メディア: 文庫
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〈人生が複雑なのではなく、私が人生を複雑にしている。そのため幸福に生きることを困難にしている。人生についての「意味づけ」(ライフスタイル)を変えれば、世界は信じがたいほどシンプルになる〉
私は他の人の期待を満たすために生きているのではないと主張するためには、他の人も自分の期待を満たすために生きているのではないことを認めなければなりません。
一般に、人の課題に踏み込まないということも、幸福に生きるために忘れてはいけないことです。対人関係のトラブルは、いわば土足で人の課題に踏み込んだり、踏み込まれたりするときに起こります。
人に嫌われることを怖れて、他者の考えに合わせてしまう人は、自分が正しいと信じたことを主張するという責任を取っていないといえます。自説を主張し、譲らなければ、多くの場合、考えを異にする他の人との摩擦を免れることはできません。
生きることは、始点と終点のある動きとしてではなく、ダンスを例にあげられるような、エネルゲイアとしての動き、つまり、どこかに到達することを待たなくても、刻々の「今」「生きてしまっている」というのが、生きることなのではないでしょうか。
死への怖れを創り出すのは、人生の課題に取り組むことを回避するためだと考えることができます。
「よく生きる」ということの具体的な内実は、アドラーが与えています。「私に価値があると思えるのは、私の価値が共同体にとって有益であるときだけである」(Adler Speaks)
「人生を先延ばしにしない」