KogoLab Research & Review

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アドラー心理学の理論から技法、そして応用にいたる全体像を見渡すために良い本です。

鈴木義也・八巻秀・深沢孝之『アドラー臨床心理学入門』(アルテ, 2015)

アドラー心理学の理論から技法、そして応用にいたる全体像を見渡すために良い本です。なにより公平に記述されています。タイトルに「臨床」とはいっていますけれども、臨床家に限らず、アドラー心理学の全体を見渡したいという読者にはお勧めです。アドラー心理学を研究してみたいという人にも、その概念やキーワードを手早くつかむためにも便利です。

前半は「理論編」で、目的論、対人関係論(社会統合論)、認知論(仮想論)、全体論、主体論(個人の主体性)、ライフスタイルとライフタスク、勇気づけ、共同体感覚、が解説されます。後半は「実践編」で、早期回想、不適切な行動、課題の分離、論理的結末、家族布置、が取り上げられています。またコラムとして、劣等感、親教育、家族会議とクラス会議、が取り上げられています。アドラー心理学のキーワードがほぼ網羅されていることがわかります。

アドラー臨床心理学入門

アドラー臨床心理学入門

 

 Jane Nelsen(ネルセン)が「Nelson/ネルソン」(p.163, 168)と誤植されていますので、改訂で修正されることを期待します。