KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

美術館や博物館は学問のベース基地

2021年11月24日(水)

旅行の楽しさは、観光名所を訪れたり、ご当地グルメを味わったりすることにもありますけど、その土地の美術館や博物館に立ち寄るのは、私にとって幸せな時間です。美術館や博物館に寄るたびに思うのは、この場所と建物が、歴史学や文化人類学、民俗学、美術、工芸、産業史といった学問のベース基地のようなものになっているということです。

・常設展(コレクション)は、いつでも入場者を受け入れて、自由に見ることができるようになっています。

・企画展(イベント)は、特定のテーマを掲げて、研究の成果を発表する場になっています。同時に多くの人を集めて興味を引くようなイベントとして機能します。

・教育活動として、学習者を集めて定期的に講座やワークショップを開いています。そのための教室やライブラリーを備えています。

・研究活動の場所として、そのための場所と資料を備えています。その成果は企画展などで披露されます。

こんな感じのシステムとして美術館・博物館は機能しているんだと思います。そういうところがちょっとうらやましく感じたりします。心理学にもそういう場所があるといいなあと思ったりします。ウィーンのフロイト博物館を訪問して、フロイトがカウンセリングで使っていた寝椅子を見ただけで強烈なインパクトを受けました。

https://www.wien.info/ja/ウィーンのすべて/ジークムント-フロイト博物館再オープン-358770

さて、大学は教育活動と研究活動を行なっています。しかし、常設展と企画展はありません。あえていえば図書館がその場所になることがあります。こう考えると、オンライン教育の時代になっても価値のある大学キャンパスであるためには、そこに訪れる価値を備えていくことが重要なのかなと思います。そのモデルとして美術館・博物館を参照する意味があります。

サバティカルの非常勤をゼミ卒業生に頼めるという幸せ

2021年11月22日(月)

私の勤め先の早稲田大学では10年に一度「特別研究期間」を取ることができます。一般的にはサバティカルと呼ばれる制度です。サバティカルは1年間あるいは半年間で、その期間は授業や学内業務などを離れて、研究に専心せよというものです。前回私がサバティカルを取ったのは2011年のことです。来年度2022年度は2回目のサバティカルとなります。同時に最後のサバティカルでもあります。次の10年を迎える前に定年(70歳)になりますので。

前回2011年度のサバティカルのふりかえりでこんなことを書いています。

・担当授業とゼミ指導を離れてみることで、次に試してみたいアイデアがもやもやと浮かんできた。この意味でサバティカルがひとつのFDであることを実感した。確認したことは、やっぱり私は授業をするのが好きなんだということ。
・身体を鍛えることに時間を割くことができた。おかげで体力はついたような気がする。そして、早寝早起きにもなった。
・大学院のゼミ指導だけは継続していて、そちらに時間をあてることができた。論文投稿の手伝いはかなりできた。
・長年暖めていた「教える技術」の本が書けた。

ということで、2022年度のサバティカルも、研究アイデアを温める、本を執筆する、論文を書く、体を鍛える、という感じになると思います。

さて、サバティカルを取る前の準備で大変なことは、自分が担当している科目を代講してくれる非常勤を探すことです。前回はそれでかなり苦労しました。私の担当科目数は限定されているものの、通学生とeスクールの二足のわらじ(人間科学部の教員はみんなそう)なので、科目がそこそこ多いのです。

そんなわけで、今回もかなり苦労しましたけれども、なんとか代講を依頼することができました。前回と決定的に違うことは、私のゼミを卒業した人たちに依頼できたということです。これはこの10年間で優秀な人たちを輩出できたということなので、我ながら幸せなことだなあと思います。

eスクールのゼミ訪問もスタート

2021年11月15日(月)

通学生に続き、eスクール生のゼミ訪問もスタートしました。eスクール生は海外在住の人もいますので、当然のことながらZoomでの面談です。

コロナさなかであった2021年4月に入学した人もいますので、eスクール入学にコロナの状況が影響したかを聞いてみました。特に影響はなかったとのことでした。ここ数年でeスクール志願者数は増加しています。「人生百年時代」がキーワードになり、社会全体として人生のセカンドステージをどのように生きるかについて関心が高くなっていることが志願者の増加に影響しているのかもしれません。

これは本当にいいことだと喜んでいます。常に学んでいる状態にあって、新しい知識やアイデアに開かれていることが、自分の人生をどれほど豊かにするかは、学んでいる人たちだけが味わうことができるのです。