- 作者: 樋口裕一
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2000/10
- メディア: 新書
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樋口裕一『ホンモノの文章力』(集英社新書、2000、660円)を読む。
著者は、「フランス文学、アフリカ文学の翻訳家として活躍するかたわら、小論文の指導に携わる」とある。「小論文の神様」と呼ばれているそうだ。
この本はすてきだ。共感する部分がたくさんあった。
著者は「文は人なり」という通念を批判し、「ありのままに書け」ということは欺瞞だと主張する。その上で、この本で目指すのは徹底的に実践的で戦略的な文章術だという。そして、楽しんで邪道のテクニックを身につけているうちに、ホンモノの文章力が身についている、そんな学習法をめざす、という。
著者は「邪道のテクニック」だというけれども、私にはこの本で紹介されている技術がまっとうなテクニックだと思える。
小論文にいわゆる「文章力」は必要ない。表現に凝る必要もない。しゃれた言い回しをする必要もない。比喩もいらない。生き生きと描写する必要もない。ただ、的確に物事を判断し、その根拠を説明すれば、それでいい。
こう言い、どんなテーマでも型を守って書く、実践に進んでいく。その型とは、
- 問題提起 (イエスかノーかで答えられる問題提起)
- 意見提示 (イエスかノーかのどちらの立場をとるか)
- 展開 (イエス・ノーの根拠を示す中心部分)
- 結論 (全体を整理し、イエス・ノーをはっきり述べる)
この本では、作文やエッセイの書き方も扱っている。作文・エッセイでは、具体的であること、リアリティがあること、そして、「みなまで言わない」という態度が大切だとする。そうした上で、やはり型に沿って書くと書きやすい、と。作文・エッセイの型は:
- 予告 (これから書くことのきっかけ)
- エピソード (具体的に語る中心部分)
- テーマ (エピソードから得た考えを深く、鋭く)
- まとめ (余韻のある締め)
高校生、大学生にお勧めしたい。