KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

4年間で一本筋の通ったコース

この学部に来て、ここで私がやるべきことを決めた。インストラクショナル・デザイナーを育てることだ。インストラクショナル・デザイナーは学校の教員ばかりではなく、むしろ、企業やNPOを含むあらゆる場における「教育担当者」を指す。プロフェッショナルはそれがどんな専門であれ、後継者を育てるという仕事をその一部として担っているので、インストラクショナル・デザインは、すべての領域におけるプロの第二の専門になると予測している。

ここにいる4年間にこういうコースを取れば、インストラクショナル・デザイナーになれるというカリキュラムを目指して作っている。まだ未完成だが、次のようなステップである。

  • 1年次:講義科目「インストラクショナル・デザイン」→レクチャー中心でインストラクショナル・デザインの哲学とその基礎を学ぶ。
  • 2年次:実習科目「実験調査研究法(インストラクショナル・デザイン研究法)」→実習でインストラクショナル・デザインを学ぶ
  • 3年次:演習科目「インストラクショナル・デザイン演習」
  • 4年次:ゼミ形式でインストラクショナル・デザインの領域で卒業研究を行う

問題は2年次の実習で何をやるべきかということだ。講義科目はスタンダードな内容があるので問題はない。また、3、4年次では、卒業研究というゴールに向かってすべてが進んでいく。問題は2年次の実習で実質的にどのような研究スキルを身につけるかにかかっている。

インストラクショナル・デザインは応用科学なので、その基礎となる三本柱をマスターしている必要がある。

  • 1. インストラクショナル・デザインの土台である心理学理論を幅広く理解していること
  • 2. 教材や学習環境を「開発」できる技能(プログラミングを含む)を持っていること
  • 3. 開発したものを科学的に評価するための方法を身につけていること

以上の3つを授業内容まで具体化してみると、

  • 1. 講義科目「インストラクショナル・デザイン」で浅くカバーしているが、さらに専門書の講読によって理解を深めておく
  • 2. 講義科目で習ったIDプロセスを具体的なテーマの教材開発で実習する
  • 3. 実証研究の方法論を具体的に身につける
    • 1. テキストデータ(BBSや大福帳)を、QCAで分析する
    • 2. たとえばWeb提示の方法を変えて、実験計画法から分散分析に至る
    • 3. たとえばARCS動機づけモデルを使い、授業アンケート作成から因子分析に至る

というような内容。

もし、これらをカリキュラムに落とすとすれば、

  • 1. 講読(レビュー)型科目「インストラクショナル・デザイン2」を開講
  • 2. 現行の「実験調査研究法」でカバー
  • 3. 新たに「実験調査研究法2」を開講

ということで、なんと2つも新しい授業を開講しなければならなくなってしまう。まあ、当面はその新しい部分を3年次の演習で行って、型を作っていくということになるだろう。

あと2,3年後には、4年間で一本筋の通ったインストラクショナル・デザインのコースができるはずだ。