KogoLab Research & Review

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山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

伝わる・揺さぶる!文章を書く (PHP新書)

山田ズーニー『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(PHP新書)を読む。これは良い本。実用文ワークの副読本にしたいくらいだ。まず実用文という位置づけが的確。「鑑賞でなく、機能する文章」を実用文、あるいは「生活機能文」、「コミュニケーション文」として、これをいかに書くかということを具体的に指南する。

テーマを決めただけでは書けない。テーマを「論点」(つまり問題提起)に変換して、それに答える「意見」(つまり結論=主張)を作る。意見に説得力を持たせるためには、「論拠」が必要である、と説く。論拠ばかり並べ立ててると一方的になってしまうので、自ら「予想される反論」を書こうという。

まとめると、実用文の構成に関する山田モデルは、

  • 論点→論拠→反論→意見

であり、これは

  • 序論(背景と問題提起)→本論(主張、根拠、論拠、反論、限定条件)→結論(主張)

というトゥールミンモデルに近いものになる(新書のためか、先行研究の言及はいっさいないけれども)。

このモデルを、上司説得、お願い、議事録、志望理由書、お詫び、メールなどといった具体的なニーズのある文章にマッチさせて丁寧に書き方を教えているところがすばらしい。お勧め。