アドラー家族カウンセリング―カウンセラー、教師、セラピストのための実践マニュアル
- 作者: オスカー・C.クリステンセン,Oscar C. Christensen,江口真理子,山口茂嘉,柴山謙二
- 出版社/メーカー: 春秋社
- 発売日: 2000/06
- メディア: 単行本
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
人生の驚くべきかつ明白な事実のひとつは、私たちは親になるための訓練を受けていないと言うことである。ほとんどの場合、今日の親は自分たちの親によって与えられたモデルに従って、子どもを育てている。基本的には、私たちに与えられた育児法は「権威主義的なモデル」である。権威主義的な育児モデルに本質的に悪いものは何もない。ただ現在の子供たちには不適切だということだけである。
アドレリアンのカウンセリングは「教育モデル」によります。なにか不適応な行動が生じているとすれば、それは病気ではなく、知識や経験が不足しているとまず考えるわけです。そこにカウンセラーが介入していくことによって、病気を治すのではなく、教育するというわけです。
そう理解すると、アドレリアン・カウンセリングの特徴的な形態である、オープン・カウンセリングも、大勢の参加者に対する教育効果を狙ったものであり、効果的な形態であることが納得できます。
この本の7章は「親の学習グループ」として、地域に根ざした学習グループの運営の仕方と具体的なプログラム、こまかい工夫などが記述されています(日本での親の学習グループのプログラムとしては、アドラーギルドが開発した「パセージ」があります)。これが1章分の短い分量にもかかわらず、実によく設計されていて、インストラクショナルデザインのひとつのモデルにもなるほどのものです。それは、日本の各地でパセージが開催されていることで裏付けされるでしょう。
社会の変化によって、どんなモデルが有効かということは変わります。育児のモデルもそうですし、教育のモデルもそうでしょう。