KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

ドライカース『人はどのように愛するのか』

人はどのように愛するのか―愛と結婚の心理学 (Adlerian books)

人はどのように愛するのか―愛と結婚の心理学 (Adlerian books)

原題は「The Challenge of Marriage」。

アドラーは、仕事、交友、愛の3つを人生の課題=ライフタスクとして挙げました。この本はその中の愛の問題を扱っています。といっても、抽象的な話でもないし、かといってロマンティックな話でもなく、ただただ実践的な語りがアドラー心理学的です。章のタイトルから挙げてみると、「相手選び」、「同居生活」、「嫉妬」、「親になること」、「セックスの謎を解く」というような感じです。実践的でしょう。

不幸にも、この無秩序なかかわり合いが、今日の家族生活の際だった特徴となっています。つまり、お互いに競争するという関係が、夫と妻、親と子、きょうだい間の標準的な関係なのです。ですから、過程の平安を乱している問題と葛藤は、だれが正しくてだれが間違っているかといった視点からは、「論理的に」理解できません。私たちは、問題を生み出した人について、問題の心理的な意味を理解しなければなりません。

自分の欠点に苦しんで他者に批判的になるのは、人間だけです。ですから、私たちは他者の失敗に興味を持ちます。普通は、自然な共同体感覚があれば、友だちの良い性質を認めたり喜ぶことができます。どのような人にも美徳があるように欠点もあります。欠点や美徳のいずれを強調するかが、その人への態度を示します。

「協力」を研究対象とするには、宗教や倫理に比べて科学とあまり関連していない「価値」を観察する必要があります。自然科学が価値を無視するのは簡単ですが、心理学はできません。なぜなら、心理学の対象がまさに価値づけをする人間だからです。

教育方法の評価は、どれだけ勇気づけがなされているのかという観点から行われることが最も適切でしょう。子どもの勇気を増やすものは、どんなものであっても役に立ち、落胆させるものは、どんなものであっても有害です。根っから「悪い」子などいません。どの子どもも、良い子でありたいと思っているし、うまくできるようになりたいと願っているし、すてき(格好良い)でありたいと願っています。希望をあきらめた場合にだけ、自信を失った場合にだけ、好ましくない言動をするようになるでしょう。