シャルマン、モサック『ライフ・スタイル診断』

ライフ・スタイル診断

アドラーは、人の性格やパーソナリティについて独自の捉え方をしています。通常、私たちは自分の性格について原因論的に捉えています。「どうしてそんなことをするの？」と聞かれると「こういう性格なんですよ」と答えるのがその例です。つまり、性格が原因で、行動が結果です。

でも、アドラーは、その人の特性や行動にライフスタイルという名前をつけ、「その人の動きの（ユニークな）法則」として捉えました。モサックによれば、その人の信念体系とも言えます。

この本は、家族布置（出生順位）と早期回想を材料として、その人のライフ・スタイルを診断するための方法と実例を紹介しています。私の好きな、「最優先目標」については、事例解釈の中に少しだけ出てくるだけです。

現代のアドラー心理学では、ライフスタイル診断はあまり使われなくなっていると聞きます。というのは、その人の診断をして解釈投与をしたとしても、そのことでその人が変わっていく可能性は低いからです。人は自分について当たっていると思われることを言われても、なかなか自分を変えようとはしないものです。むしろライフスタイル診断は、その人が変わることを援助するための裏の材料として使うのが主なのでしょう。