KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

沼野一男他『教育の方法と技術』

教育の方法と技術 (玉川大学教職専門シリーズ)

教育の方法と技術 (玉川大学教職専門シリーズ)

昨日に引き続き(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20050816/p1)沼野一男先生の本。1,2章を書いています。

教育工学の中心的な下位概念として教授工学を位置づけています。それは工学の特徴と実証性、そして成功的教育観を持ったものです。工学の特徴は以下の3つです。

  • 目標達成における効率を重視する
  • ある条件下で最適化される選択肢を選ぶ
  • 科学的に分析、探求される

成功的教育観(I. Scheffler)は、学習者に働きかけるという意図ではなく、結果として学習が成立したかどうかを重視するという立場、つまり、学習者検証の原則となります。

この本では、すでにinstructional designとその訳語としての「授業設計」が出てきます。それが、学習指導案と違うところは、指導案が目標の妥当性を重視するのに対して、授業設計は教授学習過程を仮説検証過程としてみるところにあります。つまり、授業は検証可能なように設計されなければならないということです。

この文脈で、評価が重要になってきますが、Pophamの「兆候としての目標行動」が紹介されています。この考え方は今でも引き継がれているわけですが、たぶんここが問題なのだろうと思います。目標行動が明示されたとたんにそれに向けて最適化されるという学習が。