KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

バトラー・ボードン『世界の心理学50の名著』

世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ

世界の心理学50の名著 エッセンスを学ぶ

正統派名著とPOPサイコロジーと臨床心理に偏っているけれども、今一度心理学史を振り返るのに便利。また、追試を行うべきトピックも見つかる。

  • アドラー:虚栄心の強い人やプライドの高い人は、たいてい本音を隠そうとし、自分はただの「野心的」な人間、あるいはもっと穏やかに「精力的」な人間にすぎないと言い訳をする。……しかし結局、虚栄心の強い人間は、何事に対しても「これによって自分はどういう利益を得られるか?」という観点からしか見ない、とアドラーは見抜いていた。
  • ブリッグス・マイヤーズ:その類型は、「瞑想的タイプ」「自発的タイプ」「実践的タイプ」「社交的タイプ」の四つだった。カール・ユングの『タイプ論』に感銘を受けた彼女は、……
  • チャルディーニ:慈善団体のダイレクトメールに応えて寄付をする人は普通20%にも満たない。ところが、アドレスシールなどのプレゼントが手紙に添えられている場合には、数が劇的に増えるのである。
  • チクセントミハイ:創造的な思考力を開発するには、「創造性」に関するセミナーを開くよりも、環境を美化するか刺激的なものにする法が効果的だ。
  • ミルトン・エリクソン:欲望をコントロールできない、もしくは依存症に悩む人の治療では、問題が何であれ、エリクソンは決してやめろとは言わず、もっと熱を入れて続けるように励ます場合がよくあった。体重を減らしタバコや酒もやめたいと相談に来た男性に対して、エリクソンはどれもやめろとは言わなかった。その代わり、食料やタバコや酒を買うときは、地元の店でなく、少なくとも1マイル離れた店で買うように指示した。
  • グラッドウェル:彼がある大学教授の力量を評価する実験を行ったところ、その教授の授業風景を2秒見ただけの学生の評価と、一学期の間ずっと授業に出席した学生の評価は同じだったのだ。
  • パールズ:われわれが「義務に追われている」と思うのは、真剣な生き方を回避する言い訳にすぎない。不断の慎重さ、事実重視、態度保留、過剰な責任など、大半の大人に見られるこういった特徴は神経症的なものだが、自発性、想像力、遊び心、率直な感情表現といった子どもの特徴は健全である。
  • ロジャーズはこれだけにとどまらず、クライアントの問題に主観を交えず耳を傾ける沈着冷静なセラピストという固定観念をも打ち砕き、セラピストにも人格を持ち感情を表に出す権利があると主張した。
  • 決断を迫られるケースが増えれば増えるほどコストが増えるという事実を、シュワルツは巧みに説明している。テクノロジーはそもそも時間を節約するためのものだ。ところがそのテクノロジーのせいで、かえって人間は狩猟採集生活に逆戻りした。
  • 懲罰で脅すような嫌忌的なものが少なく、人びとの同意が得られやすい肯定的統制が多い文化の創造は可能だ、とスキナーは主張する。