昨日のシンポジウムの続き。今度は、その内容について。FD運動の持続と普及についてです。
ポイントは「FDセンターがチェンジエージェント(変革推進者)になれるのかどうか」ということのようでした。で、私の見方は「おそらく無理だ」と。そう思うのは、教員が授業をすることを取り巻く随伴性があまりにも整っていないからです。インセンティブのコントロールとか。いや、もちろん良い授業をして、それ自体が報酬になるということはあります。しかし、それは状況の半分でしかない。
チェンジエージェントとして介入するとしても、その前に相手が介入について合意していなければ、アクションは起こせないと思うわけですね。
説得プロセスとしては:
- 授業はあなたの仕事の一部だ
- 授業に求められている水準はこれだけだ
- あなたの授業のレベルはここだ
- そのギャップをどうしたらいいだろう?
- 授業の工夫が必要ならそれを提供する用意はあるよ
ここまで契約してから初めてアクションが起こせます。その合意がないところでやってもうまくいきません。FD研修会を開いても、そこにボランティアで集まるのは少しでも授業に関する意識の高い人なのです。
しかし、これをトップダウンで、チェンジエージェントが介入しようとすると必ず抵抗があるわけです。これを「組織の抵抗」と呼びます。
次の戦略はいかに抵抗させないかということがポイントです。つまり、チェンジエージェントの正面突破ではダメなので、裏から回る。抵抗を起こさないで変革を引き起こす。それを「アンラーニングエージェント」と呼びたい。名づけただけですが。
アンラーニングエージェントについてはよくわからないので、最後の方法を提示します。
それは美馬モデルで:
- チームティーチングを大学授業でやる(特に必修授業)
- プロジェクト学習で新任教員を刷り込む
- オープンな教室を作って、いやでも他人の授業が目に入るようにする
現時点ではこれが最強だと思います。それにしてもこれらのシステムの導入には組織の抵抗があるので、はこだて未来大学のようにゼロから設計できるという条件下のみで実現可能でしょう。