KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

高砂美樹『心理学史はじめの一歩』:心理学の流れをつかむのに最適

心理学史はじめの一歩

心理学史はじめの一歩

概して、実験心理学をやっている人は、臨床心理学のことをよく知らないし、同様に臨床心理学をやっている人は、実験心理学のことをよく知らない。そこで、幅の広い学問である心理学を、心理学史という形で一望しておくのが有益だ。それは今自分がやっている心理学の中のテーマをもう一度全体の流れの中に位置づけるのに助けになる。そして、もうひとつ別の見方とアイデアを獲得するのに役立つだろう。

しかし、心理学史の科目が開講されている大学はそう多くない。この本は心理学の流れをつかむのに最適だ。マニアックな知識よりも、どうしてこのような考え方が現れてきたのかという点に焦点を絞って書かれている。

なお、アドラーについても、129ページに正確な記述をされている。アドラー(岸見一郎訳)の『生きる意味を求めて』を参照しているので当然だけども(この本と同じ出版社)。

この本と並行して、バトラー・ボードン『世界の心理学50の名著』(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20090103/p2)を読んでおくと、心理学全体のパースペクティブをつかむのに役立つだろう。

生きる意味を求めて―アドラー・セレクション

生きる意味を求めて―アドラー・セレクション