KogoLab Research & Review

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内田和成『仮説思考』:実験をする前に論文を書け

2021年5月24日(月)

ハローマンデー! 向後です。

内田和成『仮説思考』(東洋経済新報社, 2006)を読みました。Twitterで、研究にも応用できるというのを見て、興味を持ちました。Kindle版で読みました。

https://www.amazon.co.jp/dp/4492555552?tag=chiharunosite-22

著者はコンサルティング会社の仕事の体験から、仮説を立てることがなぜ重要かということと、良い仮説を立てるにはどうしたらいいかについて書いています。良い仮説とは、一段深く掘り下げたものであり、具体的な解決策や戦略に結びつくものです。

研究に関わることとして「実験をする前に論文を書け」ということが書かれています。データを得る前に書いてしまえば、結論を出すために必要な対照が完璧に取れるということです。そして、予想どおりの結果が出なくても無駄になることはありません。

これは研究者にとっても役に立つ指摘です。実験や調査、あるいは介入研究をするときに、データ分析のイメージが不明瞭なために、あれこれとたくさんの変数をとっても、分析がグダグタになってしまうことはよくあります。そこでデータが取れたものとして論文を書いてしまうのです。そのためにはデータ分析の方法もその解釈も書かなければなりません。このようにしておけば、実際のデータが取得できたあとでグダグタになることありません。書いたとおりにやればいいからです。

さらに、仮説検証をするときには最小限の要素だけを急いで、簡単にやるということも書かれています。これを「クイック&ダーティ」「バック・オブ・エンべロップ(封筒の裏)」と呼ぶそうです。これも研究をする人には役に立つ視点です。良い研究のためには、重要な変数を外さないことが肝要なので、変数の「アタリをつける」というスキルが必要だからです。

では、みなさんも良い一週間を!

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