KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

厳密に点数化しないことの意味

2021年5月25日(火)

こんにちは! 向後です。

課題やテストを出して、それに点数をつけるということは広く行われています。自分の課題やテストにつけられた点数というのは、それ自体がフィードバックの役割を果たしています。点数が高ければ「よくやっている」、点数が低ければ「もっとがんばりなさい」という情報です。しかし、教員の方としては、点数に注目するのではなく、「ここを直す、ここを改善する」というところに注目してほしいのです。

その意味で、課題やテストを点数化することは、「どこを直せばよりよくなるか」ということについて注意を逸らしてしまうという重大な副作用があります。点数が95点だったときに、どこでマイナス5点されたのかということに注意が向くということ自体は悪くありません。しかし、それは「ここを直すともっといいよ」というコメントをつければそれで十分です。本来95点ということは「全体としてすばらしい。合格。」というメッセージなのです。

マイナス5点というのは、誤変換や単なる形式的な不備でしょう。それに対して、あなたはこのトピックをよく理解し、それを文章化することができたということが重要なのです。この「内容の修得」と「形式的な不備」とは質の異なる2つのことですから、それを点数という一次元でマップするというのが間違いなのです。

そんなわけで、私の授業では点数はつけるとしてもできるだけアバウトにしています。成績をつけるというのは教員に課された業務ですので、それには応える必要があります。ですけれども、他人に点数をつけるという仕事をしている人には、厳密に点数化しないことの意味を気にしてほしいと思っています。

では、みなさんも良い一日を!

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向後千春メールマガジン(発行者:向後千春 kogo@waseda.jp)

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