KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

保育士、看護師、日本語教師の共通性から独立研究者へ

2022年11月16日(水)

結論から言うと、「独立研究者のための論文の書き方」を開発していこうということ。

この結論に至った経路は次の3つからです。

(1) タレブの『身銭を切れ』を読んだこと

https://www.amazon.co.jp/dp/447810381X?tag=chiharunosite-22

この本の中で、身銭を切らずに(現場のリスクを体験せずに)大所高所から好きなことを理論と称して言っているアカデミアの人々が痛烈に批判されています。そして、そのためにアカデミアの作り上げる理論は的を外していることを主張しています。

(2) 近年保育士、看護師、日本語教師コミュニティからの講演依頼が増加していること

私の専門であるインストラクショナルデザインに関する講演依頼は、以前は大学機関のFDや企業内教育・人材育成から来ることがほとんどでした。それは今も続いている一方で、近年増加しているのは、保育士、看護師、日本語教師コミュニティからの講演依頼です。

これはどういうことかなと考えた結果、次のような共通点がありそうだと思いました。

  • 現場が複雑系であること。だいたいこれでいけるだろうという体系的なものがありそうで、実はない。流派がたくさんあり、それ自体が混沌としている。
  • 現場にリスクがあり、身銭を切っている人たちが働いている。
  • 世間的にはその専門性が認識されておらず、したがってそのリスクに見合った報酬が得られていない。そのため人手不足が慢性的である。

(3) アカデミアの論文文体ではない独立研究者の文体を開発すべきニーズがあること

タレブが注目するロングテール(外れ値)こそが重要だということ。そこを掘っていくことこそが、組織的バックアップを持たない独立研究者が進むべき道であること。そのためには主流となっている研究方法論(質的も量的も)ではなく、独立研究者独自の観察の方法、記述の方法、論文のスタイルと文体があるはず。それを開発していきましょう。

その先に、専門性を高め、社会での認識を変えていくことを見据えています。