KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

修論公開審査会で質疑の最初は基礎的な知識を確認するための質問をしました。

修士論文の公開審査会がありました。今年度は主査が3件、副査が2件でした。

主査、副査にかかわりなく、質疑の最初は基礎的な知識を確認するための質問をしました。この質問は研究発表の内容と関係のないところから持ってくるのではなく、発表者のスライドの中から聞くようにしています。本人がスライドに書いているのですから、すべて答えられるはずという前提で聞いているのです。

たとえば次のような質問をしました。

・社会構成主義とはなんですか。何へのアンチテーゼとして出てきたものですか。
・幼少期の思い出を判断材料とするには信頼が置けますか。
・「10年ルール」とはなんですか。誰が提唱しましたか。
・質問紙の全ての項目で検定を行うことについてどんな問題がありますか。
・グラウンデッド・セオリー・アプローチにおける「プロパティ」と「ディメンション」とはなんですか。
・コレスポンデンス分析において軸の解釈は可能ですか。

これらの質問についてはすべて答えられるはずという前提なのですが、確率は半々くらいでした。まあまあでしょうか。

こうした基本的な質問に答えられれば、こちらは安心して研究内容の質問に入っていけます。本来はこちらが大切なのです。基本的な質問をしているおかげで、安心して内容の質疑に入っていけるということがわかりました。

修論生の皆さん、お疲れ様でした。

内容はアドラー心理学の中心概念である「共同体感覚」に真正面から取り組んだものです。

2月1日に小学館新書より『幸せな劣等感』が発売されます。アマゾンでも書影が出ました。

 

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

幸せな劣等感: アドラー心理学〈実践編〉 (小学館新書)

 

 

タイトルには「劣等感」と入っていますが、内容はアドラー心理学の中心概念である「共同体感覚」に真正面から取り組んだものです。たくさんの人に読んでいただきたいと思います。広くご紹介をお願いします。

 

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発表者自身が自分の卒論を理解しているということを確認するために質問をしました。

eスクールの卒業研究発表会でした。みなさんお疲れ様でした。今回私のゼミからは9人の卒研生が発表しましたが、全てが素晴らしい発表でした。私も指導に当たった教育コーチも誇りに思っています。

今回は、質疑応答の時間の最初を借りて、研究方法や統計分析についての質問を1人につき3つほどしました。この発表会は口頭試問を兼ねていますので、発表者自身が自分の卒論を理解しているということを確認するために質問をしたのです。内容についてはすでにゼミの発表会などで把握していますので、あくまでも方法論的なところを聞きました。

質問は以下のようなものでした。典型例を挙げます。

・構造方程式モデリングでAGFIとは何ですか。どれくらいあればいいですか。
・M-GTAとGTAの違いは何ですか。
・インタビューする人数を打ち切るための基準は何ですか。
・α係数とは何ですか。
・因子分析で回転とはどういうことですか。回転しないとどうなりますか。
・累積寄与率とは何ですか。何のために使いますか。
・重回帰分析でステップワイズ以外の方法をあげてください。
・効果量とは何ですか。その目安はどういうものですか。
・重回帰分析でR^2とは何を意味しますか。
・t値がマイナスになっていますが、何を意味しますか。

これら全ての質問は発表者のスライドの中から取り上げたものです。スライドを作ったのは発表者自身ですから、それを自分がきちんと理解しているかどうかを試したものです。

統計パッケージを使うスキルは、その意味を知っていることと一緒でなくてはなりません。そうでないとなぜこうした数値が出てきたのか、またそれをどう解釈すればいいのかということがわかりません。今回の質疑ではそれを試したものです。

発表者は半々くらいの確率できちんと答えることができていました。初めての試みとしては上々ではないでしょうか。

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