KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

なぜ授業にストーリーが必要なのか

来年度から担当する「入門統計学」のプロットを考え始める。シラバスはすでに出してある。シラバスに記述するのは、授業で扱うひとつひとつの内容だ。それは授業が扱うべき単元をリストにしたものに過ぎない。

そのひとつひとつの内容を、どういうゴールと見通しの中で、文脈を作りながら配列していくかを考えるところから授業設計が始まる。全体として意味のあるストーリーを作り出したい。学習者が、ワクワクした気持ちで始まって、「なるほどこうなるのか」と納得した気持ちで終わることができれば、最高である。そのためにはどうしてもストーリーが必要なのだと思う。

授業で扱う内容が、学習者の記憶の中に「へばりつく」ようにするためにもストーリーは効果的だ。内容そのものは覚えなくていい。インターネットの時代だから、検索すれば簡単にアクセスできる。そうではなくて、「こういうときにどうすればいいんだっけ?」という「枠組み」が記憶されることが必要なのだ。それさえ頭の中にあれば、あとはインターネットで検索すればいいから。しかし、「どうすればいいんだっけ?」がわからなければ、検索することもできない。「検索の前の段階」の「枠組み」こそが教えるべきことなのだ。