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大学で作文教育は…

投稿者:赤尾 晃一 投稿日:07月01日(木)18時04分19秒

ご心配をおかけしている赤尾@静岡大学です。

大学で作文教育というのはそんなに奇異なことなんでしょうか。

日本では文学的な心情伝達文(綴り方)教育または入試用の小論文対策(自己の見解の表明)が主流で,「事実だけを的確に描写する」「論理的な文章を書く」という言語表現技術教育は,致命的に不足していると思います。説明文・論述文の書き方(expository-writing)という領域ですね。

大学が基礎教育で,この種の言語技術教育を導入するのは,当然だと思いますけどね。そうしたトレーニングなしに,レポートを書けというのが,そもそも無茶な話なので。

新聞記者やテレビ局員も,少なくとも新入社員研修では同種のトレーニングを受けているはずなのに…。

ところで,ちはるさんが執筆者のお一人でもある,『理科系の日本語表現技法』(栗山次郎編著,朝倉書店,1999,2600円)を拝読いたしました。「日本語表現法」が必修科目でもあるわが学部でもそろそろ本腰を入れてテキストを作らなくては…。というわけで,おおいに参考にさせていただきます。

そう。ポイントは説明文の書き方。これは理系文系に関わらず、ちゃんと訓練しなくては。

この前のTBSの取材の時に、大学生の表現力の低下を示すものとして「あまりにもひどいレポートのようなものはありませんか」ということを聞かれた。それで一応探したんだけど、私の手元に残っているレポートで「こりゃひどい」というようなのはなかった。それはある意味、当然のことで、書かせる前にレポートの書き方を教えているから。訓練しておけば、そんなに脱線したレポートは出てくるはずがない。それを訓練しないで「このレポートはひどいよね」という教員がいるけど、それは教員の怠慢以外の何ものでもないよね。

赤尾さんのところでも日本語表現法が必修なんですね。テキストのことも含め、ぜひノウハウの交換をさせてください。