- 作者: 大森荘蔵
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1994/07
- メディア: 文庫
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世界を死物として扱い、その密画を描くことで近代科学の道筋が決まった。記述の細密度を上げ、整合性を追求することで、次々と古い仮説を覆してきた。しかし、あくびをする犬を密画化することは不可能で、密画に適するのは、形と位置とその時間的変化に限定される。
物が客観であり、知覚が主観であるという知覚因果説では、音楽は記述できない。音波という死物としてならば記述できる。「知覚像=物」とする重ね描きによってこれを解決する。同じ音楽がAさんとBさんとで違って聞こえたとすれば、それこそがその音楽の客観的性質であるとする。
ここから、何か生きている活動(たとえば授業のようなもの)を記述しようとするときの方法についてのヒントが得られるような気がするんだけれども。