KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

数土直紀『自由という服従』

自由という服従 (光文社新書)

自由という服従 (光文社新書)

仮に私が「自由である」としても、他者の目に自分がどのように映っているのか、他者は自分をどう評価しているのかについて完全にコントロールすることはできなのだということ、そして、それにもかかわらず他者の評価を躍起になってコントロールしようとしているとき、そのとき問題とされている他者は、自分の心の中に内面化された幻影にしかすぎないこと、これらを了解する必要があります。

したがって「自由であるからこそ権力にとらわれてしまう」ということが著者の主張。その仮説は魅力的なんだけれども、本文に書かれている例は「だから?」という感じでした。すみません。たぶん読み方が悪いのでしょう(と権力にすり寄ってしまう自分)。5章の建築労働者への参与観察は面白かったです(ただし、これは著者とは別の人の論文です)。正統的周辺参加とそれを外から見たときにどう見えるかという好例に思えました。