戦略的心理療法―ミルトン・エリクソン心理療法のエッセンス (精神医学選書)
- 作者: J.ヘイリー,Jay Haley,高石昇
- 出版社/メーカー: 黎明書房
- 発売日: 2000/12
- メディア: 単行本
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第2章 催眠にみられる策動
催眠という現象を、被催眠者の精神内界的な見方ではなく、催眠者と被催眠者との対人関係的な見方、つまり2者のコミュニケーションという点から見てみる。催眠を行動的に定義するとすれば、被催眠者が手を上げて(随意的)、同時に「自然に手が上がる。私が上げているのではない」(不随意)と意味修飾を与えることである。催眠誘導は、この不一致をいかに起こさせるかということである。
催眠者と被催眠者との関係は、被催眠者が催眠者のメッセージに反応せざるを得ないという意味で相補的である。しかし、被催眠者は抵抗によってこの関係を対称的なものにしようと策動する場合がある。対して催眠者は、抵抗を命じることによってこの策動を封じることができる。
- 対称的:手が上がります/上がるもんか
- 策動封じ:いや、わざと上げなくていいんですよ(抵抗を命じた)
- 相補的:手を上げてください/はいはい、上がります(これも抵抗)
- 策動封じ:いや、わざと上げなくていいんですよ
- 上位相補的:手が上がります/目が閉じると言ってもらえますか
- 策動封じ:自分にどんな反応が起こるかはご自分で選んでいいんですよ
(本の内容と輪読会で聞いたコメントを向後が自分なりにまとめたものです)