KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

横山雅彦『高校生のための論理思考トレーニング』

高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)

高校生のための論理思考トレーニング (ちくま新書)

日本では「プリントが足りません」という。アメリカでは「プリントを5枚ください」という。これが英語のロジックだと著者は言う。何かを主張(claim)すると、論証責任が発生する。何をどのように言えば、論証ができるのかは、トゥールミンの三角ロジック(claim-data-warrant)を学べば良い。この本では、三角ロジックの練習がたっぷりできる(ただし英語の例が中心だけど)。

トゥールミンの名前が出てこないのは不思議だし、トゥールミンモデルのqualifierも割愛されている。それでもこの本はお勧めだ。福澤一吉『議論のレッスン』(http://d.hatena.ne.jp/kogo/20020503/p1)と併せて読めば、トゥールミンはばっちりだ。

それに加えて、次のような指摘は勉強になる。

  • 論証責任が生ずる条件(それに対しては、How & Whyを答えねばならない)は文に次のような単語が入ったとき:
    • 相対的な形容詞(good, important...)
    • 助動詞(can, may, must, should...)
    • 主観の動詞(think, believe, want, hope, wish...)
  • 反対の方法には3つある:
    • 反駁(rebuttal):データ、ワラントの虚偽、矛盾をつく
    • 質疑(question):データ、ワラントに論証責任を求める
    • 反論(counter argument):新しい三角ロジックを立てる
  • クレームそのものは攻撃できない。それをすると破壊的とされる。