パネラーとして登壇してきました。パネルディスカッションの前に東工大・赤堀先生の講演があり、それは、赤堀研究室の研究成果を紹介しつつ、これまでの教育工学を振り返るというものでした。
パネルディスカッションとはいうものの、これは実質的に赤堀先生の退官記念最終講義だと認識していた私は、最初のスライドで「赤堀先生、御退官おめでとうございます」と述べさせていただきました。この後は、白鴎大学に移られるとのことです。
BEATセミナーには初めて参加したのですが、パネラーからの短いイントロのあと、参加者同士で20分のディスカッションをして、まとめた質問を紙に書いてもらい、それを順次パネリストが答えていくという形式でした。これはすばらしい方法だと思いました。オーディエンス全員が参加しているということでもあるし、また質の高い質問が出てくることにもなります。誰かがマイクを独占することもなく、軽快な質疑応答が進みます。まあ、その分パネリストには負荷がかかるスリリングな方法でもあり、私は何とかして面白いことを言おうと努力しました(が、どうだったか)。これをデザインした山内先生に敬服です。
出てきた質問と私の考えを簡単にメモしておきます。
- デジタル教材は本当に効果的なのか? → 即時フィードバックと学習者の反応に個別に対応するという条件がクリアされていれば必ず効果的だ。それ以外のところでは、デジタルだろうがアナログだろうが本質的な違いはない。
- 教育工学の研究成果を現場に普及するにはどうしたらいい? → (これは答えなかったのですが)教員の意識を高めるしかない。自分たちは「教えることのプロ」なのだということ。プロは理論を知っていて、それを現場に活かす技術を持っている。まあ、そのためには雑用で時間を奪われないようにする環境作りが大切ですが。
- 50年後には教育はどうなっていると思うか? → 50年後には、学校も教室もなくなっているでしょう。必要に応じて学ぶということが日常化され、試験のために「勉強する」ということもなくなっています。必要や興味があれば、どんなメディアでも学習コンテンツがデリバリーされます。教えてもらいたい人と教えたい人のマッチングも簡単にできるようになるでしょう。イリイチの予言は現実となります。