KogoLab Research & Review

遊ぶように生きる。Vivi kiel Ludi.

タイラー・コーエン『インセンティブ』

インセンティブ 自分と世界をうまく動かす

インセンティブ 自分と世界をうまく動かす

  • p.37 家庭や職場で報酬がうまく働かないのと同様、研究室での報酬が逆効果になりやすいのは、いいかげんな形で適用されているからだ。……努力がモノをいい、内側からのやる気が乏しく,報酬を受け取ることによって地位が向上する場合に、カネを動機づけに使うべきだ。
  • p.116 シグナルはコストがかかり、骨の折れるものでなければならない。そうでなければ、最高の人材を選別することなどできない。ビジネスの世界を制するには、テストでいい点を取るよりはるかに多くのスキルが必要だ。将来、ビジネスや学問で成功するかどうかを占う上で、最も重要な資質は自制心だともいえる。
  • p.173 原稿を仕上げるという点に関して言えば、最大の敵は、1日に書く量が少ないことではなく、丸1日、何も書かないことだ。1日に1ページでも書ければ、1年後には一冊の本が仕上がる。これなら何とかなりそうだ。だから物書きは、毎日書けるというセルフイメージに投資する必要がある。そのためにこそ自己欺瞞は役に立つのだ。
  • p.175 ブレイン・ストーミングは、時間の使い方としては非生産的だ。人は集団のなかにいるときよりも、自分独りのときのほうが新しいアイデアを思いつくものだ。心理学では、「集団による生産性の錯覚」と言われる。22の調査のうち、集団のほうが生産性が低いとする調査が実に18にのぼった.身に覚えがあると思うが、他人の仕事を信頼し過ぎて、「ただ乗り」する人が多すぎるのだ。それでも意外なことに、集団での議論は高く評価されがちだ。個人で考えるよりも、集団でのブレイン・ストーミングのほうがより良い成果が生まれると答えた割合は8割にのぼる。

トピックはばらばらだが面白い。全体としては「内なるエコノミスト」のしくみを明かそうというもの。